2013年4月1日から9月28日の期間の月曜日から土曜日、私は一日も欠かすことなく朝8時にテレビの前にいた。もちろん、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』を観るためである。日に何度か観ることもあったけれど、とにかく朝8時。録画はしない。リアルタイム。あさイチの朝ドラ受けまで観る。完全に中毒である。そして、当然のごとく「あまロス」に陥った。DVDボックスを買おうかと迷ったけれど、買わなかった。台本を収録した本を買って、何度も読み返した。やっぱりDVD買おうかな……と、迷い始めた頃、紅白歌合戦で再び彼らに逢うことができた。あまりに嬉しくて、そして、最終回よりもさらに最終回だったその回(敢えて、紅白の一コーナーではなく、回と言おう)に感動した私は、いつでも逢えるときに逢うDVDに頼ってはいけないのだと感じた。北三陸もリアスも、私にとってはそこまで神聖なふるさとになっていたのだ。

 さて、本日2015年4月6日から、BSで再放送が始まった。7時15分である。早い。8時より早い。あまちゃんが終わってすっかりお寝坊さんに戻っていた私には、なかなか微妙な時間帯だ。だが、無論起きた。テレビの前に座った。あの懐かしいオープニングテーマ。知り尽くした展開の一つ一つがうれしい。あさイチが続かないのが寂しいが、そこまで贅沢は言わない。また、半年、『あまちゃん』のある日々が帰ってくる。うん。おかえりなさい、あまちゃん。

 NHKの思惑どおり、そのまま『まれ』を観る。先週、チラ観したときは子どもだったが、今週からヒロイン登場。誰に頼まれた訳でもないのに、『あまちゃん』と比較熟考した。故郷のない東京育ちのヒロインが、自分が生まれた場所ではない土地をふるさととし、その土地の人々よりもその土地の魅力を再発見、アピールするという図式が酷似している。そもそも、『あまちゃん』は「地元」というコンセプトにとことんこだわったドラマであったけれど、日本人は、NHKに発見してもらわないともう故郷を見つけられないのだろうか? 

 『あまちゃん』『ごちそうさん』『花子とアン』『マッサン』と続いた「ん」で終わるドラマは当たるというジンクスに背を向けた『まれ』は、果たして……とか言いつつ、まあ、観ても観なくてもどっちでもいいかなぁ。すでに、私の頭の中では潮騒のメモリーがガンガン鳴り響き、心は『あまちゃん』でいっぱいなのだ。

※これといった画像は持っていないので、2013年9月に岩手県西和賀町銀河ホールで開催された第21回銀河ホール地域演劇祭で岩手県に行ったときのおみやげの写真でお茶を濁します。

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# by nabegen-usagian | 2015-04-06 13:44 | TV-DRAMA

よみちにひはくれない

※ブログ「うさぎ観察日誌」こちらに移します。

「老いと演劇」OiBokkeShi第1回公演『よみちにひはくれない』
作・演出:菅原直樹
2015年3月29日14時@岡山県分和気町駅前商店街

  青年団の俳優、菅原直樹くんが岡山県に引っ越して介護士になったのは聞いていた。私にとっては、初演『もう風も吹かない』のキノコ隊員。底なしの優しさと底知れぬ怪しさが共存する、不思議な役者である。昨年は、介護と演劇の相性の良さを実感して始めたという「老いと演劇のワークショップ」に参加し、介護職員としての積み重ねが、彼を演劇人としても大きく成長させていることを目の当たりにした。そんな彼が芝居をやると言う。実在の商店街を舞台にした「認知症徘徊演劇」だと言う。借景芝居を提唱する私としては、これはもう行くしかない。
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 岡山県和気町の駅前。元々は銀行だったという風情のある建物を観光協会が使っていて、そこが集合場所であり、受付である。そうそう、もう壊されてしまったが、青森市本町のみちのく銀行の建物、いいなぁ、いいなぁって思っていたのだったっけ。
 それはともかく、看板がかわいい。
 そして、この駅前の広場。少し早く着いた私は、いきなり準備に来た菅原くんと「おかじい」こと岡田忠雄さんにお会いした場所である。なんだかもう、そこから芝居が始まっているみたいだった。この写真は芝居が始まってからのものだが、本当に二人はこんな感じで立っていたのだ。
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 神崎という役を演じている菅原くんは、おかじいと別れてどんどん歩いていく。観客である我々は、彼の後を追う。さびれた商店街と書くのは抵抗があるのだけれど、かつて繁栄していたであろう、繁栄の名残しかない商店街を歩いていると、私はいったい日本のどこを歩いているのか、いつの時代を歩いているのか、なんだかどんどん迷子になっていく。
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 二十年ぶりに故郷を訪れて町を歩く神崎を追いながら、町を抜け、河川敷に行く。観客が追っているのは、神崎ではなく、神崎が追い求める幻の故郷なのだろうか。この地に思い出のない私が、変わってしまった故郷に対する神崎の寂しさをいつのまにか共有している。
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 欲を言えば、今回のバージョンは「認知症徘徊演劇」よりも「幻のふるさと散策演劇」の様相が濃かった。今、菅原くんが考えていることを、菅原くんとおかじいの二人がいるからこそできる「認知症徘徊演劇」が観たい。うさぎ庵の借景芝居とはひと味もふた味も違った、「老いと演劇」OiBokkeShiならではの世界を観るために、きっと私はまた和気町に行く。


おまけ
圧巻! 神崎は探している黄色い服のおばあさんを見つけ、橋の上まで走っていく。河川敷に残された観客は、演劇体験としてはあり得ないロングショットで二人を見つめる他ない。
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ロビーとなっている中国銀行跡地。奥の金庫、わかりますか?
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商店街のお店が店先に「応援しています!」メッセージボード。今、そこで暮らす人々がいるのだということを暖かく感じさせてくれる。
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雨天中止のこの演劇。私が伺った日の天気予報は、曇りときどき雨。でも、「おかじい」てるてる坊主が、見事に晴れを呼びました。
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おかじいこと岡田忠雄氏とと記念写真。なべげんの宮さんこと宮越昭司と同い年かと。また、お会いしましょう!!! おつかれさまでした。
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# by nabegen-usagian | 2015-04-03 14:15 | THEATRE

劇作家・うさぎ庵主宰・渡辺源四郎商店ドラマターグ工藤千夏のブログです。


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